北海道出張記 ~牧場で乳製品の贅沢さを知る~
当社では、北海道「まおいの里牛乳」(Non-GMO飼料のみで育てられた牛から
集乳したサツラク牛)を扱っております。
今回は該当牛乳を使用いただいているメーカーの方と一緒に、
営業担当:五十嵐が、搾乳現場である、北海道の牧場へ行ってきました。
広大な土地だからこそできること、その贅沢さを垣間見た出張でした。
「餌が命」
牧場経営は、搾乳量に左右されます。
搾乳量が多ければ売上が上がり、少なければ下がる。
その肝は餌にこそあります。
どのような餌を使用しているのか等、詳しいお話を伺いました。
未来を担う仔牛ちゃん。
「粗飼料」と「濃厚飼料」
飼料には、「粗飼料」(そしりょう)と、「濃厚飼料」とがあります。
粗飼料とは、乾草(ほしくさ)など、繊維分の多い飼料を指し、
対して濃厚飼料とは、デントコーンなど、繊維分が少なく、蛋白質、炭水化物(エネルギー)に富む飼料を指します。
牛は濃厚飼料を好み、濃厚飼料を増やせば乳量も増えるが寿命が短くなる(通常5年以下)。
寿命が短ければその分、牧場経営の打撃となるため、濃厚飼料と粗飼料をバランス良く与える(5:5)ことが重要です。
好き嫌いせずに食べてね。
自家飼料と配合飼料
「濃厚飼料」と「粗飼料」という区分けとは別に、「自家飼料」「配合飼料」という区分けもあります。
「自家飼料」とは自分で作った飼料で、「デントコーン」や「チモシー(イネ科)」(註)などがあり、
※他の草では、「オーチャード」(イネ科の草)、「アルファルファ」(マメ科の草)などが有名。
「配合飼料」とは買い餌のことで、「ビートパルプ」(サトウダイコンを絞った後のカス)や「ペレット」
(円柱状に加圧成型した配合飼料)などがあります。
こちらは自家飼料と配合飼料の混ぜ餌。
乳価が安い北海道
自家飼料が多いほど買い餌率が減るため、飼料コストの抑制につながります。
広い土地のある北海道では牧場の自家飼料割合が高く、70%ほどが自家飼料。
一方、都府県の牧場は土地が狭いため、30~40%程度しか自家飼料の割合がなく、
その結果、原乳コストに差がでるため、乳価にも北海道と都府県では差が出てきます。
ちなみに平成25年度の総合乳価を調べると、
【北海道】824円/10㎏、【都府県】1,005円/10㎏
※出所:農水省生産局畜産部牛乳乳製品課調べ
つまり、北海道と都府県の乳価では181円の差があり、都府県は北海道より20%も高い乳価です。
しかし、先のような事情が分かると、その差にも納得がいきますね。
エサがたくさん積んであります。
一頭につき、5反(50m×50m)の畑が必要
牧場経営は、つまり、牛舎だけでは成り立ちません。
それを養うだけの畑が必要です。
一頭あたりに年間必要な餌は、5反の畑に相当すると伺いました。
恥ずかしながら、わたしはそのような事実をこれまで全く想像していませんでした。
当然、畑が無ければ飼料会社から買うしかない。
そうすれば、原乳コストは高くなる。
今のように円安で、輸入飼料が高騰していれば尚更である。
牛とは、乳とは、乳製品とはなんと贅沢かと思わざるを得ない瞬間でした。
広大な牧場。